浜通り食と藝術プロジェクト

「食」と「藝術」を切り口に、
地域の記憶を味わい、新たな関係性を醸成する

  • 2024年度:自生する果物から酵母を育てる「パン」のプロジェクト

    招聘アーティスト:磯崎道佳(いそざきみちよし)
    活動内容:富岡町に自生している果樹(クワの実など)から天然酵母を育て、ハード系のパンをつくるプロジェクトを展開。パンづくりのプロセスを通じて、地域の自然や資源を再発見し、住民同士のコミュニティを育みました。
    イベント:2024年9月29日、夜の森公園にて「富岡秋のパン祭り」を開催。これまでの活動紹介や今後の展望を展示し、地域の人々が共に食べる「共食」の機会を創出しました。

    2025年度:土地を自らの手で食べる「味噌」のプロジェクト

    招聘アーティスト:三原聡一郎(みはらそういちろう)
    活動内容:自らの手でこの土地を食べるためのリサーチと行為を通じて、地域を知り、除染後の土地で暮らすことや地域コミュニティを再考することを目指し、「味噌づくり」と「味噌汁の振る舞い」を行いました。

    9月:フィールドリサーチ&アーティストトーク 広野町での塩の購入や富岡町での野菜の収穫など、地域の食資源をめぐるリサーチを実施。富岡町での制作スペース確保とともに、アーティストトークと最初のみそづくりワークショップ(WS)を開催。

    10月上旬:屋台づくりと仕込み リヤカーをベースにした移動式の「みそしる屋台」をDIYで制作するWSと、みそづくりのWSを並行して実施。

    10月下旬:シルクスクリーンWSと味噌汁の振る舞い 「みそ」「そしる」ののぼりやオリジナル前掛けをシルクスクリーンでプリントするWSを開催。10月26日には、完成した屋台を用いて地域住民や子どもたち、高校生へ温かい味噌汁を振る舞い、多世代が交わる豊かな「共食」の場を生み出しました。

  • 徹底した現場リサーチと日常の記録

    本プロジェクトの核として、福島県浜通り地域への継続的な訪問と対話を重視しました。2018年から築いてきた地域との信頼関係を土台に、風景や遺構、住民の言葉を丁寧に収集。表層的な報道では捉えきれない、土地に深く根ざした「日常の断片」をアーカイブ化するプロセスを徹底しました。

    対話による「物語」の編纂とクリエイティブ

    福島から離れた「福岡」や「京都」でリアリティを届けるため、現地のパートナーと議論を重ねました。アートディレクター土屋勇太氏の起用により、ヴィジュアル・アイデンティティを統一。点在していた活動の断片を一つの**「旅(Journey)」という物語に繋ぎ合わせる**ことで、来場者が深い没入感を得られる展示を設計しました。

    浜通りで発信すべき活動の紹介

    自団体の活動紹介に留まらず、浜通りで活動する他団体の情報も積極的に発信・展示しました。地域の多様な営みを包括的に提示することで、来場者が特定のプロジェクトへの関心を超え、浜通り地域そのものへ多角的な興味を抱き、実際に現地へ足を運ぶきっかけとなるような広がりのある場づくりを実践しました。

  • 地域資源の再発見と記憶の伝承
    自生する果物からの酵母づくりや、地元の塩・野菜を用いた味噌づくりを通じ、震災前の地域の豊かな食文化や記憶を掘り起こし、新たな形で次世代へとつなぐ場が生まれました。

    帰還住民と移住者をつなぐ横断的コミュニティの醸成
    復興公営住宅に暮らす高齢の帰還住民から、地域の小中学生・高校生、移住者、関係人口にいたるまで、世代や居住歴を超えた「顔の見える隣人関係」が構築されました。

    プロジェクト後も続く日常のコミュニケーション
    イベント終了後も、住民同士が連絡ツールで「ポコちゃんみそ」の経過を報告し合ったり、WSで作った前掛けを日常的に愛用するなど、一過性に終わらない持続的なつながりへと発展しています。

  • 主催:NPO法人インビジブル

    招聘アーティスト:

    磯崎道佳(2024年度)

    三原聡一郎(2025年度)

記録写真

前へ
前へ

PinSプロジェクト

次へ
次へ

たまゆらの盆